2006年01月29日

永らくのご愛顧に感謝

 ●最終回です
 2000年から始めたエッセイマガジンは、今号で最終回といたします。
 最近ブログで書いたもののなかから、いちばん気に入ってる文章を、最終回として掲載いたします。


「宇宙で、満ちる」 バージョン2

 月が地球を回る周期はおよそ27日、月の満ち欠けは29.5日で起こる。

 新月のときに排卵し、満月で生理を迎える。それが自然の摂理にかなっているのだというのをどこかで読んだことがある。

 太陽、月、地球、という順で一直線に並んだとき、地球からは月の姿を見ることができない。月は太陽からの光を煌々と浴びているけれど、地球から見えるのはその裏側、真っ暗な月だ。朔(さく)の月、つまり新月。月の引力に太陽の引力が加わり、海の水が盛り上がって大潮になる。潮が満ちるころ、腹のなかで卵がひとつ、ころりと落ちる。

 夕暮れの西の空に、弓のように尖った月が見え始める。細く切れ上がる三日月は、横からこっそりのぞき見ているような楽しさがある。ラグビーボールに似た、八日目あたりの上弦の月もよい。黒い影を持った月は、立体感を際だたせ、それが球体であることを訴えてくる。ああ、あれは宙にぽっかりと浮かんでいるんだなぁ、と実感させられる。

 月を眺めていると、宇宙が身近に迫ってくる。見たこともない光景が、はっきりと頭のなかに描かれるとき、私は宇宙をつかんだような気持ちになる。漆黒の世界でただひとつ燦々と輝きながら浮かんでいる太陽、その光を受けている側だけ明るい地球、少し離れて月がいる。いつの間にか私は宇宙を外から眺めている。地球は自転しながら静かに太陽の周りを回り、月は地球を回りながら螺旋(らせん)を描いて太陽を回る。
 
 地球の、日本の、埼玉の地には、じっと夜空を見上げる私がいる。たしかにいる。宇宙は恐ろしく静かで、凍えるほどに冷えているけれど、太陽が発する赤色は暖かい。暖かいんだよね、とぐっと手のひらを握ってみるとき、私はこの地に戻っている。

 山際からのぼる月はふくふくと肥り、十五日目には満ち足りた月、望月。太陽、地球、そして月がまっすぐに並ぶ。ふたたび大潮を迎えたそのとき、体の深い所から赤い血が滴り落ちる。

 地球と月と、太陽と。宇宙のなかで私の体も満ちてゆく。

─────────────
●永らくのご愛顧に感謝
 これまでお読みなってくださった方々、ありがとうございました。

 古くはパソコン通信の掲示板、インターネットのホームページ、そしてメーリングリスト。時の流れとともに、アウトプットする場所も変わってきました。そして、いまはブログです。2004年からSNS(ソーシャルネットワークサービス)のmixiに入会し、そちらで日記を書くようになってから、書きたい欲望、表現をしたい欲望は満たされ、エッセイマガジンをないがしろにしていました。アウトプットの場所が変わってしまった以上、こちらは廃止しようと思います。

 ブログは、わたしのサイトでもご覧になることができます。いつでも、会いにいらしてください。お待ちしております。

 それでは、また。

by ichiko : カテゴリー:エッセイマガジン

made by XHTML, CSS, Movable Type.
© Go Go ichiko. All Rights Reserved.