2004年11月24日

秋の白い一日

今朝、新聞を取りに外に出たら雪虫が飛んでいた。ちっちゃなお尻に白い綿をつけた虫が、いそぐふうでもなく、なんのあてもなさそうに、ふわふわとあたりを漂っている。

北海道では、冬の到来を真っ先に知らせてくれるのが雪虫だった。雪虫を見た朝は、「もうすぐ雪が降るね」と母が言い、子どものころはわくわくと雪の降る日を心待ちにした。大人になってからは、長く厳しい冬を思って憂鬱になった。北海道にしかいないのかと思っていたけれど、ここに越してきてからよく見かける。どこかで母の声を聞いた気がして、新聞を手にしたまま、きゅーんと北海道がなつかしくなった。

買い物から帰ると、栗林の奥にある河原のあたりからもくもくと白煙がのぼっていた。栗のイガを集めて焼いているのだ。うちの前は広大な栗園で、栗の季節が終わるころにはあたり一面が亀の子百円たわしの工場みたいになる。茶色のイガだけがごろごろごろごろ残されて。

わたしは百円たわし工場の図がとても気にいっているのだけれど、栗園の人たちはそうも言ってられないみたいで、時期がくるとイガを集めて燃やしている。

これまでは、栗園のなかで何カ所かにわけて火をつけていたので、あっちこっちからのろしがあがり、風向きによってはうちは薫製になっていた。近所のだれかが管理事務所にひとこと文句を言ったのか、栗園の人たちがようやく気がついてくれたのか、今年はすべてのイガを少し離れた河原のほうに集めて火をつけている。

イガのなかにはまだ栗の実が残っていたりするんだろう。ときおり、ぽんっ、ぽぽんっ、と栗のはぜる音がする。家のなかにいても、ぽんっ、ぽんっ、という威勢のいい音が聞こえる。栗は、大地に落ちるときにもたいそう趣のある音を紡ぎだすのだけれど、最後の最後に焼かれるときにもまた、あいきょうのある音を残していくものだ。

河原に行ってみようかな。そろそろ焼き芋ができあがるころなんじゃないのかな。

宙にはふわふわと雪虫たちが舞い、たき火も終わりかけた細い煙がゆっくりと夕方の空にのぼっていく。秋の白い一日。


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■最近のイノウエ

●ごぶさたいたしております
すっかりごぶさたしておりました。長きにわたるメルマガのお休みに、「イノウエはどうしたんだ」と心配してメールをくださった方々にはたいへん感謝しております。わたしは元気です。

春から夏の終わりにかけては猛烈に仕事が忙しく、文章を書く脳みそが残っていませんでした。ようやく何か書けるかしらんと思いはじめたころにソーシャルネットワークというものにハマってしまったのでございます。詳細は、つぎ↓のコーナーにて。


●いまさらブログ
たらたらとプライベートを綴った他人の日記を読んでなにが楽しいのだろう、自分の日記を公開することに何の意味があるのだろう、と思っていたので、これまでブログには全く興味を持っていなかった。

ところがっ。いま話題のソーシャルネットワークに招待されて、それまでの気持ちがころっと変わった。ネットには、疎遠になりつつあった仕事関係の人や知人、パソ通時代の昔の友人などがわんさかひしめいており、再会もあれば、新たな出会いもある。そして、だれもが「日記」を公開しているのだった。

メールを送るほどの重要な用事もない、ちょっと身構えてしまいそうだ、でも近況は知りたい。そういう気持ちをみごとに満たしてくれるシステムである。いろんな人の日記を読み、「あ、今日も元気だわ」「やっと本が出版されたのね」「おいしそうなお酒を飲んでいるのね」と毎日のように近況を知る。おまけに、コメントをつけることもできるとは、スバラシイ。

もちろん、すぐにわたしも日記を書くようになった。写真もいっしょに公開できるところも気がきいている。うまそうなお酒の貢ぎものがあったときには酒瓶の写真といっしょにコメントを書き、夕飯のごちそうやネコの愛らしい仕草も公開しちゃう。みなさーん、わたしは今日も元気でーす、という感じで。

日々、こだしに文章を書いていると、「アウトプットしたいぞ」という欲求は満たされる。そうすると、メルマガエッセイからさらに遠のいてしまっていたのだった。ちなみに、今回の「秋の白い一日」は二週間前に日記として書いたものに、加筆・修正した。ちょっとタイムラグがあります。

mixiというネットワークなので、そちらに参加されている方はぜひわたしの日記を読みにいらしてください。お待ちしています。(本名で検索するとすぐに見つかります)。


●最近の酒(何も書いていないものは芋)
久耀(7年古酒)、一刻者)、気(黒糖・黒麹)、月の中、妻(麦)、さつまの風(黒麹仕込み)、匠の華、縁(えにし)、斬新明鏡、峰、玉露、純黒無濾過、克(かつ・魔王の元杜氏、前村貞夫が造った芋焼酎)、導師、鶴の荷車(麦)、泰明(麦)、中々(麦)、黒伊佐錦、喜界島(黒糖)


●最近のうまいもの
2年ぶりに六本木四川飯店にて「陳さんのお食事会」に出席。招待状が届かないなと心配していたら、おととしの暮れあたりから陳さんは体調を崩して療養されていたそう。今回は復活した陳さんの笑顔を見られて安心、おいしい料理をいっぱい食べて元気になって帰ってくる。

●アイ・ラブ・ゴルフ
自治会のゴルフ同好会(with おじさまたち)のコンペが年に2回。春の大会で優勝したので秋は幹事で大忙し。連続優勝はならず。そう簡単には勝たせてもらえません。

もうひとまわり範囲が広い自治会の同好会にもお誘いを受けたので、こちらにも参加することに。自治会だけで年に4回のコンペに出ることになってしまった。

初参加、最年少(こんな歳でも)、女性(希少価値)ということで、おじさまたちの注目の的になる。朝のあいさつで、いつもの自治会のおじさまが「わが東組の宮里藍と呼ばれています」と紹介したので大いに照れるが、「年齢は3倍だんべ」と後ろでつぶやく声が聞こえたので振り返って「せいぜい2倍ってとこです」と訂正しようと思ったがとりあえず初回なのでグッとこらえた。

by ichiko : カテゴリー:エッセイマガジン

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