2003年04月02日

いつかきっと捕まる

うまい手口だなと感心する。実に巧妙なのだ。

スピードメーターが時速40キロを指しているのを確認しながら慎重に車を走らせる。やっぱりあった。歩道の植え込みの中から望遠鏡のような筒がこちらを向いている。ネズミ捕り、スピード違反の取り締まりをやっているのだ。

市街地の混雑した狭い国道を抜け、大きく左にカーブするといきなり道幅が広くなる。右手にはゴルフ場に続く林があり、左は一面にススキが生い茂る野原だ。視界もぐんと広がり開放感がある。おまけに直線コースだ。つづら折りの山道へとつながる国道の唯一の直線区間である。

その、広く真っ直ぐ延びた気持ちのよい道路の最終地点に、測定器が隠されている。いつも決まってよく晴れた日の昼下がりだ。実にうまく仕掛けている。

少し先の脇道に隠れて大真面目な顔で立っている警官とパトカーの横を通るたびに、おかしさがこみあげる。彼らはいつになったらこのばかばかしさに気づくのか。50キロ以上で通過した車はスピード違反で捕まえるだろう。制限速度を守るように、と毅然とした口調で付け加えるにちがいない。40キロ制限の道路だから法律的には違反である。

だが、周りには人家もなく、歩行者もいない。あきれるほど見通しのいい広い道路だ。平日の昼間に通るのは、買い物帰りの地元の主婦やお年寄りである。それでもネズミ捕りをしょっちゅう仕掛け、暴走とはかけ離れた人たちを捕まえようと躍起になっている。

とにかくスピード違反を検挙したくてたまらない、というのであればその先の山道に行かれることをおすすめしたい。週末の夜ともなれば、100キロオーバーで走る車がネズミ捕りを待っております。ガードレールがぼこぼこに傷つき、めくれあがっている辺りが彼らの通り道です。爆音をとどろかせているので標的は探さなくてもすぐに見つけられます。ご健闘をお祈りいたします。

(東京新聞埼玉版・4月2日掲載)

by ichiko : カテゴリー:新聞掲載コラム

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