2002年09月10日

消えたネット医療相談

県内のある公立病院のホームページから「医療相談」が消えた。体に関する悩みや心配ごとをメールで送信すると、医師から治療法やアドバイスが書かれた回答メールが届く。同じ症状を抱える人のために、やりとりのいくつかは掲示板に公開された。

二年前、若い医師と二人で私はこのホームページを完成させた。一方的に情報を公開するのではなく、インターネットの特性を生かした「双方向」の場を作りたい。その思いを「医療相談」という形にして発信した。

始めたころは月に二、三通の質問が来ればいい方だった。が、日を追うにつれ相談のメールは確実に増えていった。この症状は病気なのか。どんな治療法があるのか。病院で診てもらうべきなのか。また、面と向かって主治医に聞けないこともメールでは気軽に話せるようだった。近隣はもとより日本中から体に関する悩みが寄せられた。

先月、病院側の意向により医療相談は廃止された。理由はいろいろだが、私にはどうしても黙認できないことがある。「ホームページは病院の宣伝手段としての立場を保っていく」という一言だ。公共機関のホームページは「宣伝」ではなく「サービス」のはずだ。診療時間や曜日ごとの担当医師表、病院の地図、予防接種の案内を掲載するのは、より便利に快適に病院を利用してもらうためのサービスなのだ。

宣伝ととらえているかぎり、患者第一の精神は失われていく。押しつけの情報だけを掲載し、利益につながらないものは切り捨てるだろう。来院を期待できない遠地からの相談に親身になってもメリットはない。いや、あるのだ。

目先の損得よりも人々の健康を心から願い続ける姿勢は、いずれこの病院に大きな信頼をもたらすはずだ。それが、地域住民を小さな公立病院に向かわせる力となることになぜ気がつかないのか。


(東京新聞埼玉版・9月10日掲載)

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