2014年02月14日

さよなら、ビー

雪の降る夜に、猫が死んだ。

明日は満月。
逝くなら今夜だろうという気がしたので、
ケージから出し、暖かいストーブの前に寝床をしつらえてやった。

予感がした。
目も開けられず動くことも出来ず泣き声も出せなくなった今、
とうとつに起き上がり、
カッと目を見開いたかと思ったら、片方の前足を宙に向けて突き出した。
これ以上に伸ばせないほどにピンと、
まるで何かを掴むかのように
まるで何かを押し戻すかのように
やせ衰えた前足を宙に向けて張った。

あたしは逝くよ、もう死ぬよ、いいかい、逝くからね、
そう教えているようにも見えた。
すとんと寝床に戻って丸くなったから、頭を撫でてやった。
静かに眠る猫の頭を撫でながら、涙が溢れた。

わたしの涙と引き換えに、すっと抜けていくものがあった。
ああ、逝ったんだね。

どんなに撫でても猫の頭は冷たくなるばかりで、
首をさすると硬くなっていて、
あんなに痩せ衰えていた小さな体がずっしりと重く
石みたいに硬くなっていった。
生まれて初めて知る抜け殻だった。

もう涙は出なかった。
あの子はもうここにはいない。
魂はちゃんとしたところに昇っていったのだろう。

さよなら、ビーちゃん、ビョーク。
15年前にインターネットの里親募集で見つけた、猫屋敷から救助されてきた猫。
ドアノブにぶら下がり、ノブがはずれたかどうかを見ながら、ドアを開けた猫。
あわお、と鳴いたときには喋るのかと驚かせた猫。
わたしが泣くと膝に乗って心配そうに顔を見上げた猫。
わたしを動物恐怖症から救ってくれた猫。

またどこかで会おうね。

by ichiko : カテゴリー:ねこと動物たち

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