2013年06月14日

モイワ会@ジャスミン

どういうわけか、ごぶさただった。その理由には少しばかり心当たりがある。たぶん、当たっているのだろう。が、今はそんなことはあまり問題ではない。いや、まったく問題ではない。ごぶさたしていたが、何年ぶりかで、またみんなで会うことになった。それは唐突に集合の呼び出しがかかったからである。そういう連絡はやはり元学級代表のヨシオから来た。

「シムリが東京に転勤になったんだって。さっそくみんなで会おう。モイワ会の開催だ」

中学の同級生4人で構成するモイワ会は、蝦夷を脱出して東京在住のヨシオ、オカノ、そして埼玉の山奥に住むわたしを入れた3人が基本メンバーで、蝦夷に住むサカシタがちょくちょく東京に遊びに来てはそこに加わる。男3名に、紅一点のわたくしである。もちろん同級生はわんさかといるのだけれど、東京、というか関東に出てきて、消息がわかっているのはこの3人だけなのだ。

蝦夷で中学時代を過ごした4人はときおり東京の片隅に集まり、肩を寄せ合うようにして酒を飲んだ。4人で箱根旅行などに出かけたこともあった。最近はどういうわけかちょっとごぶさただった。

「シムリにモイワ会の話をしたら、ぜひ仲間に入れてくれって」

会おう会おう。今は青森に転勤になっているサカシタも新幹線で駆けつけるという。これはひさしぶりにみんなの顔が見られる。シムリのおかげで、またみんなが集まる。

待ち合わせのお店は、恵比寿のジャスミン。これは明らかにわたしのチョイス。だって奴らに任せると、中年のオヤジが行くようなタバコ臭い、しみったれた、料理もこれといって美味しそうなものも出てこない、ろくな店を選ばないからである。

お店に入ると、ヨシオがすでに座って待っていた。

ひさしぶり。
ほんと、ひさしぶり、何年ぶり?
4年? うそ、そんなに経ってる?
ダメだよね、あたしたち、何やってたのかな。

オカノは出張と重なって、来られないそうである。サカシタは新宿に着いたという連絡が入ってから、なかなかたどり着けないらしい。シムリは。

シムリって会ってたの?
いや、卒業してから会ってなかった。
顔、わかるかしら。
どうかなあ、ちょっと不安だな。

そんな心配は無用だった。ガラス張りの店内から、通りを急ぎ足で過ぎるシムリの姿が目に入った瞬間に、「あ、シムリ!シムリ、ここよ!」とわたしは立ち上がって手を振った。

少し遅れてサカシタがやって来た。新宿の駅はわけがわからん、おまけに新宿から恵比寿ってけっこう遠いのな、と息を切らせている。

全員揃って乾杯。卒業してから会ってないって、じゃあ何年ぶりなんだろうね、と言ったら、みんなが黙る。頭の中で計算。えーとえーと。

35年ぶり。誰ひとりとして口を開かないのは、その年月がにわかに信じられないからだろう。わたしたちにはあれから35年という月日が降り積もっている。信じようと、信じまいと、35年だ。

シムリはみんなと会えて、すごく喜んでいた。この年になって単身赴任になるとは思ってもみなかったそうで、奥さんとひとり娘を心から愛するシムリはさびしくてさびしくて、最初の一ヶ月は本当に泣きそうになったという。なんだかシムリらしいな。ひとり娘が「めんこくて」さあ、と言ったとき、その懐かしい方言に胸が熱くなった。

シムリとは、あの頃よく話をしたよね。
うん、したね。
何を話したのかは忘れちゃったけど、よく話してた。
話したね。

夜も更けて、店を後にし、4人で駅まで歩いた。夏になる前の、ちょっと蒸し暑い夜。北海道の、田舎で一緒に中学時代を過ごした4人が、6月の恵比寿の街を歩いていた。

「なんか、ふぞろいの林檎みたい」とシムリ。

「あー、このまま、あの教室に戻りたいな」とヨシオが叫ぶように言う。ちょっと酔っ払ってる?

このままって、この年齢で?

「そう、今のままで、あの時代のあの教室に行ってみたくないか?」

行ってどうするの?

「どうもしないけど。むしょーに行ってみたい。見てみたい」

あたしはいいや。行かない。

「なんでだよ」

知ってるくせに。

「いちこも行こうよ、きっと楽しいぜ」

はいはい。わかったわかった、行くよ。みんなで行こう。

みんなで行って、35年前の教室でいろんなことをたくさんたくさん話したいよね。



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ジャスミンといえば、まずはこの「よだれ鶏」。

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餃子はよだれ鶏のたれにつけて食べると決まっている。



モイワ会の過去の投稿はこちら。(自分で読み返してみても、けっこうジーンときた)。
四人で夜景を見ながら
箱根プチ修学旅行のようなもの
連休は北からの友と
連休は北からの友と:その2

by ichiko : カテゴリー:美味しい物・酒

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