2013年01月09日

ソニーオープン・イン・ハワイ プロアマ大会を観戦

ワイキキから車でおよそ20分、ダイヤモンドヘッドを越えた向こうにワイアラエ・カントリークラブ(Waialae Country Club)はある。賑やかなワイキキを抜け、ダイヤモンドヘッドに向かって走ると静かな佇まいの別荘地が現れる。豪邸の数々を背景に、自転車の脇にサーフボードをくくりつけた男の子がゆっくりと坂を上って行く。やがて右手に海が見える。太陽の光を受けてきらきらと輝く海。ダイヤモンドヘッド・ロードの右側はサーフィンをしに来た人たちと、そのサーファーと海を見物しに来た人たちの車で埋め尽くされている。

しばらく行くとザ・カハラホテル&リゾートで知られるハワイ屈指の高級住宅地、カハラ地区に出る。男子米ツアーの第二戦となるソニーオープン・イン・ハワイが開催されるワイアラエ・カントリークラブはこの高級住宅地の中にある。

大会期間中の1月7日(月)から13日(日)まで、カハラ地区はもちろんのこと、ホノルル全体がお祭りモードに染まる。カラカウア・アベニューなどのメインストリートの至るところでソニーオープン・イン・ハワイの旗がなびき、お馴染みのロゴが入ったバナーを掲げたトロリーが街中を駆け巡っている。

まずは9日(水)に行われたプロアマ大会を観戦しに行った。

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ゲートではブルーの大会ボードがギャラリーを迎えてくれる。

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1番ティー。青空にブルーのプレートが映える。

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ギャラリーもほとんどいないし、どの組を見るというのでもなく、のんびりとコースを歩いて観戦してみることに。1番ホールのフェアウェイの右側でちょうどこの写真を撮り終わり、さて、と歩き出したところで、ぼとりという鈍い音。何事かと振り返るとすぐ後ろにボールが落ちていた。1番ティーから打ったドライバーショットだ。

「ワーオ!」という驚きの声が聞こえた。少し前を歩いていた男性が振り返り、わたしの後ろに落ちているボールを見ている。「大丈夫?ひどいね。フォアの声もかけないなんて、危険だな」。地元の男性らしき人が英語で言う。

ありがとう、大丈夫です、と答えながら、そうか、とわたしは合点がいった。プロアマ大会なのだから、アマチュアがいるのである。プロならばこんな林の方に曲げることは滅多にないだろうが、アマチュアのボールはどこに飛んで行くのかわからない。今日はよほど注意して歩く必要がありそうだ。

その事件をきっかけに、ワーオ!と声をかけてくれた男性と一緒に歩くことになった。赤いポロシャツが似合う彼は、よく日に焼けていて、どこから見ても間違いなくゴルファーだ。

「君は誰かについてまわっているの?」
「いえ、ただ歩いているだけです、散歩のように」。
彼はこの「散歩のように」というのが気にいったらしく、「散歩のようにね、うん、散歩ね」と笑いながら、楽しそうに繰り返した。

ハワイに来てどこのゴルフ場をまわったのか、これからどこに行くのか、いつまでいるのか、そんな質問に答えたり、笑ったりしていると、
「そう、あの、スーパーなヤングガイは今年は来ていないんだね」と彼。
「リョウ・イシカワのことですか?」
「そう、彼だ、すごいよね、彼は。どうしている?」。
それがあまり調子が良くなくて、この間やっと2年ぶりに勝てたのです、と申し訳なさそうに言うと、彼はとても意外そうな顔をした。

そして、「シゲキはもうダメかな?どうしている?」とも聞く。シゲキ。すぐにはピンと来なかったが、シゲキといえばあの人しかいないであろう。海外でこんなふうに名前が出る存在になっているなんて、実はわたしはあまり知らずにいた。

「君はゴルフは上手いの?きっと上手いんだろうな」と言われて、ちょっぴり自慢したくなった。「実は、もしかしたら今日はこのプロアマ大会に出ていたかもしれないのです」。予想どおり、彼はとても驚いた。ええ?それはどういうこと?君ってVIPなの? ここまでの道のりを英語で説明するのは厄介だなあと思いつつ、まあ時間もあることだし、散歩だし、国内予選を勝ち抜き、昨日パールカントリーでその決勝戦が行われたものの、僅差で負けてしまったがために、本日はこうしてギャラリーとして歩き、あわやボールをぶつけられそうになり、そのおかげであなたとこうして話しているのです、というようなことをぽつぽつと語った。

根気よくわたしの英語を聞いてくれる彼は、驚いたり感心したり目を輝かせたりしたあげくに、「勝負は時の運。またきっといいことがあるよ」というようなことを言って、励ましてくれた。彼はきっと女性にとてもモテるのだろうな、と思った。初対面の相手の話を、こんなに真剣に一所懸命に聞いてくれる男性はそう多くはいない。話を聞く男性は間違いなく女性にモテるのだ。

しばらく一緒に歩いて話をして別れた。別れた後に、わたしは彼の名前さえ聞いていないことに気が付いた。

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プロアマ大会は、前夜祭のパーティーで一緒にラウンドするプロが決まる。ドラフト会議のように、画面に映し出されたプロをアマチュアが選ぶのだ。プロ1人にアマチュア4人という組み合わせで、それぞれにキャディーがつくから一組は全部で10人という大所帯になる。だいたいは、アマチュアの友人や家族がギャラリーとして一緒に歩いているので、ちょっとした民族移動のようになる。

にぎやかな組を見かけた。スタート前にみんなで記念写真を撮っている。プロを中心にアマチュアが入れ変わり、今度はこちらの人とパチリ、次はそちらの人とパチリ、そしてその家族や友人も交えてもう一度パチリ、という具合に。みんなが笑って、楽しそうだ。にぎやかなのはこの組にかぎらない。

最初の1番ホールでいろんな組を眺めていた時に、アマチュアの女性がティーショットを打ち終わった後で「やったー!やったわよー!わたし、当たったわよ!」というような声を上げながらバンザイをしていた。近寄ってきた友人と抱き合って、飛び上がっていた。このコースでプロアマ大会に出るのが夢だったのかもしれない。夢の舞台で最初のティーショットがまっすぐ飛んでいって、とにかく嬉しくて、誰かと喜びを分かち合いたかったのかもしれない。人目も気にせずに大喜びをする姿を見て、わたしの頬もほころんだ。

椰子の木の揺れる楽園。太陽がさんさんと降り注ぐ、真っ青な空の下で、ドライバーがまっすぐに飛んだことに大喜びし、友と抱き合い、声をあげる。なんて素晴らしい光景なのだろう。なんて素晴らしい一日なのだろう。

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プロアマ大会は、みんなで楽しむお祭りのようなもの。プレーをしているアマチュアはもちろんだろうけれど、ギャラリーとして観に行くだけでもじゅうぶんに楽しめる。プロアマ大会の日は写真撮影も自由で、選手のプレーのじゃまにならなければ、どこで写真を撮ってもいい。コースでも、パター練習場でも、ドライビングレンジでも。運が良ければ、憧れのプロと一緒に写真を撮ってもらえるかもしれない。

プロショップではロゴ入りのサインボードも売られている。そのサインボードを抱えて、いろんなプロにサインを書いてもらおうと待ち構えているキッズがたくさんいる。

写真撮影やサインが許可されていることを、わたしは当日まで知らなかった。一昨年と去年、日本オープン選手権のプロアマ大会に参加しているのだけれど、そこでは写真やサインはNGだったからである。認められないのが一般的だと思っていたからだ。

ワイアラエ・カントリーのプロアマ大会を堪能し、そろそろ帰ろうと思っていたところに、とある選手がファンに囲まれて記念撮影やサインをしているのに出くわした。わたしもちゃっかりとその輪に入り、順番が回ってきたところで被っていた帽子を差し出した。白い帽子でよかった、と思った。記念にサインをしてもらおう。帽子を手に取ったプロは、黙ってわたしの顔を見る。え?なんだろう? あ、そうだ、しまった、ペンがない。サインをしてもらうには、ファンが自分でペンを用意しているのだ。どうしよう、と思う間もなく、プロはさっきサインをしてあげた人からむんずとペンを抜き取り、さらさらっと帽子にサインをしてくれた。ありがとう。これからはあなたのファンになります、応援します。

だが、わたしはそのプロが誰なのかを知らない。申し訳ないのだけれど、存じ上げない。このサインを観て、どなたかわかる方がいらしたら、ぜひ教えていただければと思う。

by ichiko : カテゴリー:ハワイゴルフ

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