2008年03月17日

おブスだけれど幸

きょうはひらひらのスカートじゃないね、
とyayoiさんに言われ、
うん、だってアフガニスタンだもん、戦闘態勢ね、
と答える。
ハードなワークパンツ、
でもちょっとお洒落感を出したいからRLのピンクのやつなのだ。

※ ※

久我山の駅。
コンビニのガラスの向こうにおやびんを見つけた。
他のひとよりも頭ひとつぶんほどでっかいおやびんは
待ち合わせのときにはとても便利だ。
やあ、と笑う。
やあ、と答える。
まるで昨日も会ってたみたいに。
ひさしぶり、とか、元気だった? とかどうしても言えない。
別れるときも、じゃね、とふつうに別れる。
特別な別れ方をすると、なかなかしばらく会えないような気がして。
まあ、すくなくとも1年は会えないのだけれど。
照れているのではなく、たぶんわたしは臆病なのだと思う。

※ ※

yayoiさんの家に行った。
テレビでしか見たことがなかった家に、行った。
テレビのときと同じようにレンガの壁があり、
エコのヤカンがあり、
アポロンがいた。
アポロン。
犬嫌いのわたしが、犬と同じ部屋にいても発狂せずにいられるようになったのは
アポロンのおかげだ。
うしろからお尻にどん、とハイタッチが来る。
平気平気。
ときおりじっとわたしの顔をのぞいている。
なに?え?なに?
とっさに殺気が走る。
どん、と腹のあたりにアポロンの前脚がやってきて、
ぎゃあとわたしは飛びのく。
前からはまだムリなんです、アポロン。

※ ※

あとから行くというyayoiさんを残し、
おやびん親子と店に向かう。
雨。夜道。
住宅街のなかの細い道を
おやびんは要領よくかくんかくんと曲がる。
カナダの人がどうして久我山の住宅街に詳しいのか、よくわからないが、
けものみちを急ぐ野生動物のように
鋭く早足で雨の夜をすり抜ける背の高い親子の後を
離れないように離れないようにわたしも急ぐ。
店の前で駐車場を横切る。
一段高くなった道路にガードレール。
長身の二頭はかるがると飛び越えるが、わたしはそう簡単にはいかない。
親のほうはさっさと進んでいくが、子どものほうが後を振り返り、
よたよたとのぼっているわたしに手をさしのべてくれた。
心太郎くん。キアヌ・リーブスを上回るほどの美男子で、ことしの秋からは有名プレップスクールに通うという頭脳を持っていて、性格もとても素直でかわいらしい。
この歳になるまで、そんな男の子が世の中に存在することを、
わたしは知らなかったよ。

※ ※

雨は好きだけれど、雨の日に出かけるのは好きじゃない。
天然パーマの髪の毛が爆発する雨の日に
大切なひとに会わなくちゃならないのはサイアクだ。
なのに雨。
きのうも、そしてあしたも晴れなのに、きょうだけ雨。
出かける前に念入りにイオンでストレートに伸ばした髪も
雨と風と湿気でぼさぼさのちりちりだ。
てやんでえ。
カメラを向けられてもすっと避ける。
ぼさぼさのちりちりですから。
だけど一枚もないのもサビシイから、
帰り際におやびんや心太郎くんと写真を撮ってもらった。

アップロードされた写真。
おやびんが顔をくしゃくしゃにして笑っている。
すごくいい笑顔だ。
となりに並ぶわたしはぼさぼさのちりちり、
飲んだくれの赤ら顔に、汗でてらっと光るほっぺた、
そんでもって皺。
おまけに笑った目がかまぼこだ。
なんという。なんという悲惨な様相でありましょう。
我ながら呆れる。
これほどまでにブスだったとは。
ぬう。
でも、まあ、いいや。
おブスなんだけれど、かまぼこの目のわたしはなんだかやけに幸せそう。

by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ

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