2007年10月21日
山の中の運動会
引っ越しリレー、三番手の走者のスタート地点は
ちょうど役員席の前になる。
ことしもまた自治会対抗の秋の運動会の季節がやって来た。
いつものようにわたしは引っ越しリレーの三番手、
いつものようにゲロってしまいそうなほどの緊張感に震え、
いつものように「なし」の箱を抱えて立っていた。
だけど、ことしはわたしの名前を呼んでくれる人はいないのだった。
ちょうど一年前。
いちこさーん、
と大きく叫ぶ声が聞こえた。
見ると、ゴルフでもたいそう仲良くしてくださっているおばさんが、
役員席から身を乗り出して手を振っていた。
がんばんのよっ、
とおばさんはふたたび叫んだ。
がんばれー、でもなく、がんばってー、でもなく、
がんばんのよっ、
なのだった。
がんばってわたしはひとり抜いた。
どんなもんだいと、おばさんの前で抜いて見せた。
それから2ヶ月もしないうちに
おばさんは逝ってしまった。
さくっと逝ってしまった。
きょうは爽やかな秋晴れ。
わたしの名前を呼んでくれるひとはもういないけれど、
ことしは一等賞でつぎの走者に箱を渡しましたよ。
体格のせいか、夫はいつも綱引き要員。
引っ越しリレー。
最後の走者は箱が6個。
必ずだれかが箱をぶちまけます。
杉の山の向こうにもう陽が落ちてゆくよ。
むかで競争もあります。
青い服の青年たちは地元の消防団。
痛さのせいか、悔しさのせいか、
すぐには立てないむかでくん。
歯が痛かろうが、四十肩であろうが、
不参加は許されない田舎の運動会なのだった。
by ichiko : カテゴリー:山の暮らしぶり
