2007年06月30日

理想の美容院

美容院が嫌いでした。
月に一度の3時間が苦痛でたまりませんでした。

しかしわたしは5月から美容院に行くのが楽しみになりました。
なじぇなら、
理想の美容院にようやく出会えたからであります。

何年か前に、
「そのうち、いらしてね」と声をかけられていたのだけれども、、
ちょっと敷居が高そうでもあり、
なんといっても遠いし、
嫌いな美容院にそんなに時間をかけてまでなー、
とためらっていたのですが、

こんなことなら、もっと早くに行っときゃよかったです。

広尾の駅で降り、有栖川公園を横にみながら
緩やかな坂をぽくぽくと歩きます。

美容師の方は夫つながりの知人で、
だいたい月の半分ぐらいは映画やグラビア撮影のヘアメイクさんとして仕事をしており、撮影のない日は美容院に出ています。

彼女にとっては日常なのでしょうが、一般ぴーぽーのわたしは、きのうは誰に会ったの、じつはヅラの俳優とか教えて、松岡くんに会う日ってないの、などとミーハー心がおさえられません。ちょうど前日は京本正樹さんと中村獅童さんと一緒だったそうで、山ザルはあ~とため息をつくばかりなりです。

美容院にはソファとテレビ、
大きな鏡といすがひとつずつ、
シャンプー台がひとつあるだけです。

すべて、彼女がひとりで担当します。
シャンプーからカット、毛染め、ブローまで
ほかのひとの手が入ることはありません。
そして、わたしがいるときには、ほかのお客さんは来ないのです。
わたしだけの時間です。

これぞまさしく、
わたしの求めていた理想の美容院。

これまでの美容院ではどこも
指名した担当者がやってくれるのはカットとブローの最後のみ、でした。
流れ作業のごとくに、シャンプーは若いあんちゃん、カットは担当者、毛染めは見習いの女の子、ブローはまた別の子、そしてふたたび担当者と、
わたしはベルトコンベアーに乗せられた部品みたいな扱いでした。

予約をしているのに、カットと毛染めのあいだに待たされることもたびたびでした。

首の高さはよろしいですか、お湯の温度はよろしいですか、かゆいところはありませんか、といちいち聞かれるのも面倒で、「用があればこっちから言うからさ!」ときっぱりと言い切る勇気などあるわけもなく、若い子にいたっては「連休はどっか遊びに行くスか」「買い物はどこらあたりスか」と妙な日本語でやたらとフレンドリーに話しかけてきます。美容院というのは、フレンドリーさ、というのがかなりの売りであるらしく、お隣の席などでは若い男子美容師に話しかけられるのがよほどうれしいのか、「やっだー、うっそー」を連発しながら発情した猿みたいに浮かれている女子がいます。うっとうしくてたまらんス。

しかし、
ベルトコンベアーとフレンドリーの押しつけの美容院地獄とはおさらばであります。
友人となりつつある美容師の彼女と、
まるで自分の家にいるかのようにくつろぎながら、
わたしだけの3時間がゆったりと流れてゆくのであります。


二回目の施術はちょうど一週間前。
髪は十数年ぶりに黒くなり、
アイロンをかけてドすとれーとになり、
夕方からは待ち合わせの新大久保に向かいました。
いつものオタク野郎たちと韓国料理の店で飲み食いでしたが
だれひとりとして、だれひとりとして、
わたくしの髪についてコメントするひとはおらず、です。

黒いだろうよ、
ドすとれーとになってるだろうよ。
褒めろとは言いません、お世辞を言えというのでもありません、
せめて、
気がつけよ。

やつらと出会ってから二十年を過ぎておりますが、
いまだにガールフレンドのひとりもおらず、
もちろん結婚もしておらず、
その理由はだいたいこういうささいなところにあるんだよなあ、と
しみじみ思ったわたくしなのでありました。

by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ

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