2007年01月03日

ただ走っているだけなのに

ただ走っているだけなのに、
どうしてこんなにひとを感動させられるのだろう。

箱根駅伝の五区。
小田原から箱根・芦ノ湖まで、曲がりくねった急なのぼりをぐいぐいと駆け上がる。23.4キロ、標高差834m。

日体大の五区を走る北村選手は、
箱根の山には神がいる、と言った。
上りで着いていくことができれば、
最後の芦ノ湖に向けての下りで勝つ自信がある、
僕は神に戦いを挑みたいのだ。

神と呼ばれるのは、
3年連続で区間賞を狙う順大の今井選手だ。

まるで北村の願いをかなえるように、
序盤ではふたりが並んで走ることになった。
今井の横にぴたりと寄り添うように北村がいる。
神の息づかいを耳にしながら山を駆け上ってゆくのは
どんな気持ちがするものだろう。
ついていけ、なんとしてでもついていけ。

9キロのあたりで北村が遅れをとった。
じわりじわりと距離が離れてゆく。
小さくなってゆく北村の姿に、
ついていけ、ついていけ、と願った。
おまえは神と走っているのだろう?
おまえは神に挑んでいるのだろう?

北村が遅れているのではない。
今井があまりにも速すぎるのだ。

神と呼ばれるその男は、前を走る3人をぐいぐいと抜き去り、ついにはスタート時点で4分以上の差をつけられていたトップをもとらえる。
自身の持つ区間記録を塗り替え、3年連続の区間賞に輝いた。

子どもだっておばさんだっておじさんだってわたしだって、
走ることができる。だれにでもできる。
ただ走っているだけなのに、
どうしてこんなにひとを感動させられるのだろう。

それは
走るのがとってもつらいことだって
みんなが知っているからだよ
と夫が答える。

by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ

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