2006年11月26日
ゆうべ国道で
ゆうべ国道でお前と同じ茶トラの猫が死んだよ、
国道の脇でひっくり返った茶トラをみんなよけて走ったんだ、うちの車だってよけたんだよ、でも通り過ぎてすぐに「まだ動いている」と叫んだうちのだんなさんは車を停めて、その猫を拾いに行ったんだ。急なカーブの手前だったから、うちの車の後にはびっしりと車が並び、わたしは猫よりも渋滞のことが気がかりだった。
だんなさんは茶色の猫を片手に抱き、もう片方の手でハンドルを握って運転したよ。猫はじっとまぶたを閉じていたけれど、とてもかわいい顔をしていたんだ。
だけどわたしはその猫を抱けなかったよ。わたしが抱いてあげるよっていえなかったんだ。だってゴルフの帰りだったから、ゴルフウェアが汚れるのが嫌だなって思ったし、内臓が飛び出していたら気持ちがわるいなって思ったんだ。わたしはそういう女なんだ。
おまけにその猫はとっても臭かったよ。この小さな体ひとつでなにをどうしたらこんな臭いを出せるんだろうってびっくりするぐらいの臭いで、車の窓を全開にしなきゃならないほどだった。
だんなさんが動物病院の診察券を探しているときに、ケージの中に入れられた猫をそっとのぞいてみたよ。それはいまのお前のように前足の上に顔をのせて寝ていたけれど、ゆすってもさすってもぴくりとも動かなくてね。ほら、お前はこうやってさわるとひくひくとお尻を動かすだろう、そうでないときには耳をアンテナみたいに向けるだろう、でもその子は石みたいに固まっているのさ。なのに、お前と同じようにまだ温かくて、シッポもそっくりの里芋のシッポだった。
動物病院から帰ってきただんなさんの手を見ると、ケージは空っぽだったよ。
ゆうべ国道でお前と同じ茶トラの猫が死んだよ、
ものすごく臭いまま、死んでいったよ、
最期にだんなさんの腕に抱かれていたことは、わかってくれたらいいよね。
by ichiko : カテゴリー:ねこと動物たち
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