2006年06月01日

【台湾:一】未来一週大豪雨

朝、ホテルの部屋のテレビをつけると、台北市からほど近いある地域が洪水になったとニュースで言っていた。言葉はわからなくても、地名と「洪水」という字幕が出るので理解できる。天気予報では、「未来一週大豪雨」という大きな見出しが出た。漢字の国は便利である。

台湾に行くのは、二回目だ。日数にして、8日間。台湾には太陽がないのか、なんていったら台湾の人が気を悪くしそうだけれど、いまだに太陽を見たことがない。いつも雨。雨が降っている。雨女とはいわせない、ゴルフのときにはみごとに晴れるんです。

えいと勇気を出してホテルのロビーを出て、傘を広げて大粒の雨のなかに歩き出す。まずは、ホテルから1キロほど離れた「龍山寺(ロンシャンスー)」にて神さまたちにごあいさつをしなければ。台湾に来たからには、なにはともあれ拝拝(パイパイ)だ。

旅のメンバーは6人。近ごろはゴルフもご一緒する夫の友だち、その奥さま、奥さまの妹さんとそのご主人。夫の友だちはこれで4回目の台湾だそうで、とにかく「歩いて楽しむ」のをモットーとしている。歩けば歩くほどその土地の面白さがわかるんだぞ、と語る彼を見習って、こんかいはわたしたちも「歩いて触れる・ディープな台湾」に挑戦なのだ。前回は、数ある野望を果たすためにあらゆる目的地にタクシーを使って移動したけれど、趣を変えてじっくりと歩いてみることにしたのだ。

ほかの4人とは、お昼に「県泰豊」で落ち合うことにして、それぞれの目的地へと向かうのだった。

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我も我もと競うように掲げられた、極太明朝体の看板。けばけばしいくせに、妙に活気があって、好き。

それにしても雨。わらわらとわいてくるスクーターにひかれそうになり(雨などものともしない台湾のスクーター族)、さらわれちゃうんじゃないのと不安に思いながら細い路地を入っていく。


■市場にて卒倒す
ビルとビルのすき間に、市場が出ていた。狭い路地の両側には一間ほどの店構えでさまざまなものが売られており、いろとりどりの果物や野菜、まだ口をばくばくさせている魚を見て「新鮮ねー」などと喜んでいるうちはシアワセだった。

かごに入れられたニワトリで驚いていたのはまだましなほうで、数軒先では蒸された鶏がだらりと首を落としてつり下げられており、トサカも顔もそのままで、うっとりと閉じた瞼から目を離すのに時間がかかった。無造作に、針金に吊される巨大な豚肉のかたまり。生肉を売る店はとても多い。蒸し暑い夏の日に、そんな売り方でだいじょうぶなのか。腸詰めを下げている店、大きな鍋で煮込まれているのはどこの肉なのか、臓物なのか、どす黒い色も気になるがもっと気になるのはその臭いである。なにをどう煮ればそんな臭いになるのか。

そう、臭いなのだ。狭い路地の両側から押し寄せる臭いにむせかえる。鍋からのぼる煮物の臭い、生ぐさい肉、蒸しもの、揚げものの油、甘ったるい果物、生ぐささ、煮物、肉、肉、肉、油、人の汗、汗に染みこむ雨の臭い、つぎからつぎへと臭いが混じり、消え、またやってきては、わたしの意識をもうろうとさせる。もう、わたしの臭覚はその変化に対応できないのだ。

この市場こそ、カメラにおさめなければならない絵なのに、わたしは一枚も写真を撮らなかった。撮れなかった。まだま修行が必要だす。


■龍山寺(ロンシャンスー)
いくつかの市場を通り、卒倒しながらも、目的地の龍山寺に着く。門をくぐり、隅に立っているおじさんから長い線香をいただく。線香の数は七本。まずは本尊の手前からパイパイ。名前、住所、生年月日を神さまに伝えてから、お願いごとをする、と前回教えてもらったのでその通りに。むにゃむにゃむにゃ。

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ひざをつき、何度も何度も地べたに頭をこすりつけるようにお祈りをするおばさんがひとり。娘の嫁ぎ先を心配しているのか、家族に病気の人でもいるのか。

経文を片手に声をだして読経する老人、顔見知りを見つけて椅子に座って語りあうおばさんたち、いつもながら台湾のお寺は人であふれている。

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本殿中央のご本尊は、観音菩薩さま。右の通路を渡ると、後ろには数々の神さま仏さまたちが一堂に会している。とくに天上聖母(媽祖)、關羽(商売の神さまだからね~)には念入りにパイパイするのだった。

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お坊さんも腹がへる。
台湾では31日が端午節、町にはちまきがあふれている。どなたからかいただいたのでしょうか、出口の柱に隠れるようにちまきをほおばっていた。カメラに気がついてしまったようで、しばらくは食べるのをやめてしまった。


■歩き続ける一日
龍山寺では旅の安全も祈っておいた。雨はしかたないとしても、ぶじに旅を進めることができるだろう。このあとも雨のなかをひたすら歩き、食べ、歩き、飲んでは食べた一日。台湾の市場はわたしには過激すぎたようで、夜はうなされてよく眠れなかった。

by ichiko : カテゴリー:台湾旅行記【2006年】

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