2006年05月19日

値段を見ずに

友だちの家に寄ったとき、キッチンのカウンターに盛られたくだものに目がいった。大ぶりの木の器に、りんごやバナナ、キウイなどが色あざやかに積まれているのはどことなく洒落ていて、優雅に見えた。ひとり暮らしでありながら、山盛りのくだものをいつも揃えている。金持ちなんだなぁ、と思った。ピーマンひと袋がいくら、という生活感をにじませているわたしにとって、くだものは贅沢品というイメージがある。そう、くだものはお金持ちの証(笑)!

こないだ、テレビをつけたら叶姉妹がどこかのスーパーで買い物をしていた。目をひいたのは、1キロ3,000円の牛肉を「じゃあ、10キロおねがい」とさらりと注文したのではなく、ピンクのドンペリを「在庫であるだけちょうだい」と迷わずに言ったのでもなく、高級なキャビアをどさどさカゴに入れるのでもなく、やはりくだものだった。

スイカ、オレンジ、りんご、メロン、なんでもかんでも手当たりしだいといったふうに、「あ、これもね、あら、そっちも」とカゴに入れていく。何のためらいも、迷いもなく。ああ、やっぱりお金持ちはちがうなぁ、と感動しながら?見ていた。

翌日、わたしのなかの、どっかのなにかがふと切れて、いきなり仕事の手を止めて、近くのスーパーに駆け込んだ。そうよ、わたしもやってやるわ、いいじゃない、一度ぐらい、セレブみたいにくだものを買ってみたっていいじゃない。

まずはりんごをひとつ手にとり、買い物カゴにいれる。重要なのは、値段を見てはならぬということだ。叶姉妹は、ものを買うときにはなにひとつ値段のチェックをしない。きょうだけは、値段など見ずに、ほしいものを気の向くままに買ってやるう! 4個入りなどのパックされたものも却下である。ひとつ売り、できれば白いアミアミの発泡スチロールで包まれたものがよいのだけれど、田舎のスーパーにはそんな洋服を着たくだものはおらん。

りんご、バナナ、キウイ、オレンジ、グレープフルーツなどをカゴに入れ、レジに行く。くだものしか入っていない買い物カゴというのも、なんだか洒落ているではないか(そんなことに酔っているのはわたしだけ)。さあ、これでいったいいくらになるんだ。どきどき。

あわせて800円とちょっと。えっえっ? レシートを見てみれば、オレンジは一個99円。いちばん高いのはりんご一個158円。田舎のスーパーごときではセレブ気分も味わえぬが、財布をにぎりしめながらほっとするわたしなのだった。

仕事の客人がキッチンのカウンターのくだものを見て、「お、なんだか美術の時間を思い出すなぁ」とひとこと。りんごとバナナの組み合わせがまさにそんなカンジ。優雅とはほど遠いね。

by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ

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