2006年04月22日

そばとうどんの攻防

そばはプライドが高かったので、あからさまにうどんを罵るようなことはしない。
そうはいっても、「うどん・そば」などという優柔不断な暖簾をかかげている食事処を見るたびに、あたくし、黙っていられなくなりますのよ。よりにもよって、うどん、を先に書くとはなんと恥知らずな。お品書きを開けば、天ぷらうどん、天ぷらそば、月見うどん、月見そば、またしてもうどんが先にありますでしょ、それは見なかったことにしても、うどんと肩を寄せて名前を連ねるなどと、まるで辱めを受けているようでございますわ。

なにゆえ、このわたくしがうどんごときと同じ扱いを受けねばならぬのか。わたくしは、有名どころの産地から選りすぐったそば粉からできております。秋に可憐な白い花を咲かせ、その実を古くは石臼を使ってていねいに挽いておりました。それゆえに、この豊かな風味と味わい、独特なのどごしをお楽しみいただけるのでございます。

なのに、うどんったらなによ、ただの小麦粉と塩とでんぷんじゃないのよっ。なーんのひねりもないくせに、のっぺらぼうの真っ白な顔であたしと並んでみせようなんて、百年早いってのよ。なのに、スーパーの棚であんたたちと揉み合うように袋売りにされている自分を見ると、ほんと、もう、情けなくって、世も末ってカンジー。

それにくらべると、うどんのほうはおおらかである。
そば粉だ小麦粉だといったところで、しょせん庶民の食い物だ、オレたちなんざぁ、腹いっぱいになって満足なお客さんの顔を見るだけでうれしいねぇい。天ぷらにきつねうどん、もちもちっとした歯ごたえのなかにも芯のある釜あげうどんを食ったことあるかい、冬場の鍋焼きうどんときたら身も心もあったまりますぜ、鍋のあとにぽんと放り込んでおだしを吸い込んだうどんのうまさはたまらんよなぁ、だけどあんた、これはオレたちだけに許されたおいしさだよ、そばの鍋焼きなんざ聞いたことがねぇだろ、鍋のあとにそばを入れるなんてぇゴメンだね、おっと忘れていたが、オレたちには焼きうどんなんて芸当もできるが、あちらは焼きそばっていやぁそばは中華そばを焼くんだろ、なさけねーなー。

まぁ、そば粉だぁ風味だぁってお高くとまっていやがるけれど、つるつるっとした素っ気のない顔でちんまりとザルの上にのっかって、あれ一枚で850円だの950円だのって殿様商売しているんじゃあ、庶民の味方とはいえねぇな。一枚じゃあ腹の足しにもならねぇから天ぷらつけてやったら、1350円ときた、お偉い方なんだねぇ、そばってのは。

そばとうどんの攻防。高見の見物をしているのは、いまや世の中を席巻しているラーメン軍団である。
なんつったってよ、うちらは、ひと晩かかって豚骨スープつくってるわけだしぃー、それプラス~魚介系のダブルスープもあわせて作ってんだよねー、うちらにとってスープが命ってーかー魂ってやつみたいなー、朝から晩までお客さんが並んでるからマジたいへんなんすけどー、てか、そばやうどんも行列のできる店をつくってみればーみたいなー。

by ichiko : カテゴリー:美味しい物・酒

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