2005年11月09日

底値の神

秩父の山奥は銀杏が美しかった。行楽などにはめったに出かけないので、ゴルフ場で四季の花々を楽しむことになる。ことしの桜もやはり秩父だった。パターを打とうと構えると、ひらりひらりと花びらが舞う。緊張で張りつめた空気に押し入って、緑の上にピンクの模様を作る。

ゴルフ場にはいたるところに銀杏の木があり、晴れ渡る空に金色の葉たちが光っている。ティーグランドに立つと、思い出したようにぼとり、またひとつぼとりとぎんなんの実が落ちてきた。秋晴れの空にそびえる秩父の山並み。真夏の真っ青な空も好きだけれど、やさしく広がる秋の空もいい。うすく、溶けていくような青の穏やかなこと。

楽に勝てると思っていた。きのうのコンペは、春にベストスコアを出して優勝したコースと同じ場所なのだ。なにより前日には、数年に一度しかお目にかかれない「ぬし」にも会った。こんなに縁起のよいことがあろうか。

たぶん、わたしは背中になにかをおぶっているのだろう。鬼、疫病神、おんぶジジイ。体調と仕事も底値で横ばい傾向という危機に直面しているのに、ゴルフまでもストップ安。ああ、人生の底値。背負っているのは底値の神。終わってみれば、参加した40人のなかで、下から数えたほうが早かった。

まあ、ゴルフなんてそんなもんだろう、いいときもあれば悪いときもある。しかし、それはどうやら自分への言い訳であるような気がする。

表彰式のパーティーで隣に座った女性は、市の大会でも優勝などをした、上級者だった。ハンデが少ないので優勝は逃したものの、ベストグロス賞をゲット、つまり40人中で、あらゆる男性をおさえて、もっともスコアが良かったのである。スピーチを終えて席に戻った彼女は、なにげなくぽつんとつぶやいた。「コレがいちばんうれしいかも」。

目が覚めた。ぐさりと刺さった。ハンデ戦での勝ち負けなんて彼女には興味がないのだ。だれよりも良いスコアであがること、それがどれほどの名誉であるのかを、知っている。それこそが、彼女の求めるゴルフなのだろう。

上達のポイントを聞いて、わたしはちょっと恥ずかしくなった。週に5日、あるいは毎日練習に通い、そしてプロのコースレッスンを集中的に受ける、というのを半年ものあいだ続けたそうだ。びっくりである。わたしはほかの人に比べて練習もコースレッスンにも力をいれているほうだと思っていたけれど、まるでくらべものにならない。

底値の神なんて、いないのだ。ただただ練習が足りないだけ、それだけのことである。

さて、わたしもちょっと本気になってみようかな。


ユニオンエースゴルフクラブ
パー72 レディースティー4805yard

by ichiko : カテゴリー:さまよえるゴルフ

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