2005年10月16日

こころに灯をともす

うつうつな期間には、DVDやWOWOWの映画を、だらだらっと眺めるのがよい。本を読むほど積極的な気持ちがわいてこないときには、こちらが停止していてもひたすら流れていってくれる映画は気が楽である。

ふだんは観ないようなものを、選り好みをせずに眺めていくのも、思わぬ拾いモノがあったりしてはっとさせられる。『黄泉がえり』はなかなかよかった、『ネバーランド』ではひくひくと泣いた、なかでもとくに胸を打ったのは『恋愛適齢期』、ロマンチックコメディざんす。

30歳以下の若い女としか付き合わないという、60過ぎの独身プレイボーイにジャック・ニコルソン、人気劇作家でバツイチの54歳の女にはダイアン・キートン。人生の半ばを過ぎたふたりにとって、恋愛なんてお手のものなのではという気がしたが、初めて本当の恋を知った60過ぎの男はうろたえ、この歳になって恋をする冒険に女は戸惑う。それは初恋のように新鮮で、せつなくて、いとしいものだ。

たわいもない話をしながら海辺を散歩するシーンはロマンチックである。うっとりするような風景があるかと思えば、いま何時?とベッドの中から時計を見て、「あたし見えない」「ボクも見えない」とふたりでおもむろに老眼鏡をかけてみたり、この年齢ならではのエピソードがコミカルに描かれている。

この映画に惹かれるのは、ダイアン・キートンの美しさにあると思う。顔にははっきりとわかる大きな皺がある。笑うたびに、くっきりと深い皺がでる。それなのにスクリーンのなかの彼女は美しく、輝きに満ちている。歳を味方につけるというのはこういうことなのだね。ああ、どうしたらこれほどまでに美しく歳を重ねることができるのかしらん。

あとで調べてわかったのだけれど、監督・製作・脚本はナンシー・マイヤーズ。ナンシーは、女性の本音をさらけ出したラブ・コメディ、『ハート・オブ・ウーマン』の監督・製作・脚本も手がけている。お~、そうだったのか。メル・ギブソンが出ているというだけで買った『ハート・オブ・ウーマン』だったのだけれど、これもまた素敵な映画だった。ヘレン・ハントがやはり知的で、美しいオトナの女だったのだ。

恋愛モノ、たまにはいいものですな。スクリーンに映るロマンチックな風景や、魅力的な女たちを見つめていると、ささいなことではあるのだけれども、こころのなかに小さな灯がともるような、温かくて、切ない感情が思いだされてくるのであります。

おまけ:
ジャック・ニコルソン、と言いたいのに、油断するとどうしても「ジャック・ニコラウス」と書いてしまうわたしです。

by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ

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