2005年10月11日

雨の日に太宰は

昨晩、テレビの「太宰治物語」を見る。豊川悦司が太宰というのはかっこよすぎるような気もしたが、小説の一文一文を語る場面はよかった。

原稿をちぎって窓からバラバラとまくときに、「髪の毛?」スウプに何か、とちらりと見えた3行ばかりの文章が『斜陽』の出だしとわかるのはイキである。極めてまずそうな顔をしながら食べては種を吐き、食べては種を吐き、とつぶやくのは『桜桃』の最後であったな、と棚から文庫本を取り出してしばし読みふける。

音を立てて勢いよく降る雨ならまだ救いがあるのだろうけれど、降りそうで降らず、厚い雲がたちこめるどんよりと薄暗い昼に、風邪で体も心も後ろ向きになっている状態で太宰を読むのはよくない。彼の作品を受け止めるには、こちら側にもそれに相当するパワーが必要であるように思う。きょうはそんな力はとてもわいてきそうにないので、『畜犬談』を開き、抱腹絶倒する。身をよじるほどおもしろい話であるのに、みじめさと悲しさがにじんでくるのは、やはり太宰だからなのだろうねぇい。

by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ

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