2005年10月05日
手袋恐怖症
あずましくない、しばれる、はんかくさい、などという単語はさすがに使わなくなった。言葉というのは環境によって、無意識に変化していくものらしく、周りにそのような単語を使う人がいなくなればわたしのボキャブラリーからも消えていくようである。
消したくても消えない言葉の記憶というものもある。なおそうと努力しても、しぶとく生き残るのはなぜだろう。なおせないもののひとつに、「手袋をはく」という言い回しがある。そうです、はくんです。
十数年前、デザイン事務所にて。ポジをスキャンするときに、「白い手袋をはいたほうがいいんですよね?」と聞いたところ、周りの人たちが一瞬押し黙った。ぐっ、とつまっていた。沈黙を押し破ったのは、「やっだぁー、どうやって手袋を『はく』んですかぁあ~」という若いギャルの笑い声だった。くすくすとほかの人たちも笑い、死ぬほど恥ずかしかったけれど、間違いを指摘してくれたギャルにはちょっと感謝している。それまで似たような沈黙は何度か経験していたけれど、みんなただ黙っているだけだった。影でこっそり笑われるよりは、「その言い方はおかしいよ」と言ってもらったほうがいい。
北海道のように真冬の「しばれる」ような寒さはないから、関東では手袋、という言葉を使うシチュエーションは少ない。使う機会がなければ、ミスも防げるというものだ。
しかーし、ゴルフをするようになってから、ふたたび「手袋」に出会ってしまった。グローブ、などというハイカラな呼び方はできないので、やっぱり手袋であり、あれだけ恥ずかしい思いをしたにもかかわらず、つるっと言ってしまうのである。
パターのときには手袋をはかないよね、きょうは白い手袋をはくわ、手袋をはいていると日焼けが目立つよね。そのたんびに、いや~な沈黙が訪れ、あ、しまった、やってしまった、とひとり恥ずかしい思いでいっぱいになっているのだった。
これは北海道弁なのか、あるいは、オオシマローカルなのか、定かではない。オオシマとはわたしの旧姓であるが、秋田弁がいまだにぬけない父と、旭川のド田舎の出身である母から伝えられた言葉はいかにもアヤシく、オオシマ家オンリーのものも多いと思われる。布団を着る、つゆがまかる、いずい、いごく、なんだよソレ(笑)。
by ichiko : カテゴリー:日々のあれこれ
