2005年09月07日
バアさんの句会
札幌の母から電話がくる。勢力を維持したまま台風は北海道へと向かっているというのに、これから句会に行くのだとはしゃいでいる。「だってきょうは発表会だから、どうしても行かなくっちゃね」。
あ、そうそう、こないだのヤツはやめたから、とちょっと得意げに母はいう。じゃあ、新しい句を詠んでみてよ、と言うと、「ヒ・ミ・ツ、教えてあげなーい」とのこと。発表会ではみんなの前で詠むのに、娘には教えたくないらしい。
「こないだのヤツ」はひどかった。一句ひらめいちゃったのよ~と母はうれしそうに詠んでくれたが、じつに陳腐な句でガッカリした。お母さんはこの句で何を伝えたいわけ、楽しいのカナシイの感動したの、だいたいねひらめいたなんていうものに真実はないのよ、どっかの手垢のついた言葉をひろってきただけじゃないのよ、日常のささいなことでもいいの、埼玉に嫁いだバカ娘へのあきらめでも、糖尿を患いつつジンギスカン食い放題でぶっ倒れるまで飲み続けるお父さんでも、お母さんが感じたことを、アナタにしか書けないものを詠む、七転八倒してお母さんだけの575を創り出すんだよ。
「どうせ年寄りのバアさんの句会だもーん、ムズカシイことはいーのよ」と母は開き直った。「それに、お母さん、文章の才能もないしー」と簡単にあきらめる。才能っちゅーもんはね、ひねり出すもんなんだよ、おっかさんっ。
さて、台風のなかで行われたバアさんの集い、もとい、発表会の結果はどうだったのだろう。母の想いをこめた句、母にしか詠めない一句を披露することができたのだろうか。
by ichiko : カテゴリー:夫、身内について
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