2005年06月09日

帰っちゃうもん

お友だちが、ふるさとである九州から届いた茂木びわの写真を公開していた。やさしい色をしたびわの表面には、産毛のようなやわらかな毛も見える。遠いふるさとから旬の食べ物が贈られてくるというのはとても幸せなことなのだけれども、ときにわたしはどうしようもなく切なくなる。故郷の言葉など忘れ、ひらべったい標準語を話し、あわただしく追われるように過ごす日常のすきまに、ふるさとの匂いが飛び込んでくる。あまりにも唐突で、強烈で、いま目の前にある現実とのギャップにくらくらしてしまうのだ。

九州のびわを見て、北海道の地を思うなんて不思議だ。お正月にも帰らなかった。父の誕生日にも帰らなかった。

ITじじいの父からは、せっせとメールが届く。つい数日前には、庭にある満開のライラックの写真が添付されていた。遊びになんて来なくていい、仕事があるうちにあんたは働きなさい、懸命に稼ぎなさいと父母は言う。

帰ろう、もう、帰っちゃおう。いまの仕事は今月いっぱいで終わる。早々に航空会社にアクセスし、往復のチケットを取る。

「お母さん、7/1に帰るよ、遊びに行くよ」と電話をすると、「あきらさん(夫)には相談したのかい、仕事はだいじょうぶなのかい」と心配ばかりで、ひさしぶりに会えるうれしさとか喜びなどはカケラも感じられない。

けれども、わたしは知っている。電話を切ったあとの、父と母のあわてる様子が目に浮かぶ。温泉はどこにしよう、いまから予約したほうがいいか、どっかにジンギスカンの割引券を取っておいたから探せ、○○スーパーのセールの日にキリンラガーを箱で買っておくべ。なぜだか、老人ふたりは家のなかをあっちこっちに走り回り、大騒ぎをしているのだ。

by ichiko : カテゴリー:夫、身内について

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